Lo Stadio Giapponese

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ファンが作るセリエA歴代選手名鑑〜マウロ・イカルディ〜

 「先輩の嫁を寝とった男」
 「キャプテンにも関わらずチームの和を乱した男」


 以上の二言だけで、カルチョを愛している皆さんなら、 一体誰のことを指しているかご理解頂けるはずだ。そう、現在PSG所属のストライカー、マウロ・ イカルディである。

 

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 彼がイタリアで一躍注目を浴びる存在となったのは、 当時サンプドリアの選手としてプレーをしていた2012- 2013シーズンのユヴェントス戦。 ユヴェントスが圧倒的な強さを誇るユヴェントス・ スタジアムで2ゴールをぶち込んだのが大きなきっかけだったはずだ。
 自分が長年インテルを応援しているという事も大きく働き、 その試合がきっかけで彼の名前を否応なしに覚えたのも今となって は懐かしい。

 

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 そんな彼がインテルにやってきたのは、 ユヴェントス相手に2ゴールを決めた約半年後の2013年の夏だった。当時のインテルにはミリート、 パラシオといった実績と実力を兼ね備えたストライカーを2人擁し ていたこともあり、イカルディの獲得は将来を見据えた補強であり、 即戦力ではないと少なからず見られていたし、自分も同様だった。
 そして大方の予想通り、控えとしてシーズン開幕をした訳だが、 ある試合で自分も含めたインテリスタの心を鷲掴みにすることとなる。
 なんと彼がインテルに来て公式戦初得点を叩き込んだ相手が、またもユヴェントスだったのだ。 後半途中にピッチに立った彼は僅か数分後に、リッキー・ アルバレスのパスを受けゴールネットに突き刺した。インテルとユヴェントスの関係性は説明不要のライバル関係。 これ以上ない滑り出しとなった。

 同試合は日本のスカパーでも放送されていたが、 実況を担当していた下田さんの「ユヴェントスキラー健在!!」 とのコメントを今でも忘れられない。 結局そのシーズンは怪我もあり完全なレギュラー定着とまではいか なかったが、 未来のエース候補であると証明するには十二分な初年度だったと言えた。(前述した先輩の嫁寝とり事件は話せば長くなるので割愛)

 

 移籍2年目となるシーズンは開幕からはレギュラーに定着し、マッツァーリが監督を解任されマンチーニが就任してからは、より一層得点感覚が磨かれて、最終的にセリエA得点王をルカ・ トーニと並んで初めて獲得することになった。

 自身にとって初となる得点王に加え、マンチーニ監督からはキャプテンに使命されたイカルディは、 監督が代わってからもその座を譲ることなく、 若きリーダーとしてチームを引っ張り続け、 時に悔しさのあまり涙を流しながらも、 長らく遠ざかっていたインテルのチャンピオンズリーグ出場権獲得に大きく貢献することとなる。

 インテルで順調なキャリアを歩んでいたかに思われていたイカルディだったが、ある人物によって大きく躓くこととなってしまう。 ご存知ワンダ・ナラだ。 彼の妻であると同時に代理人をも努めていた彼女は、 事あるごとにメディアに登場しては余計なことをペラペラと話す、 特にインテルにとっては厄介でしかない存在であった。
 元々、クラブと同代理人の関係性は良くないと見られており、ティフォージからの風当たりも強くなってはいたが、 いよいよ先に我慢の限界に達したのインテル首脳陣の方だった。状況を重く見た彼らは、イカルディのキャプテンマーク剥奪という手段に出たのだった。

 

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 キャプテンマーク剥奪という騒動直後は、 何かと理由を付けて練習にも参加せず、当然招集メンバーにも選ばれなかった状態が長く続いたが、シーズン終盤になり「表面上」 は和解してチームに戻ってきたイカルディであった。それでもキャプテンマークが彼の元に戻ることは最後までなかったのだった。
 今思えばだが、セリエA最終戦の対エンポリで自身が獲得したPKを決められなかったのは、ある意味、彼とインテルの別れを予知していたかのように思える。
 シーズン後にスパレッティ監督が退任し、現在もインテルを指揮するコンテが新たな監督として就任した訳だが、一度信頼を失った彼の居場所はもうインテルにはなかった。半ば厄介払いの如くPSGにローンで放出されるという結末になり 、つい数ヵ月前までは誰しも予想だにしなかった別れ方となってしまったのだった。


 代理人でもあり妻でもあるワンダ・ ナラをコントロールできなかったこと、キャプテン(だった) にも関わらず自身の立場を最優先に考えていた(?) とも思える態度で、インテリスタのアイドルから一転、嫌われものへと凋落してしまったイカルディ。それでも、自分は彼のことが今でも好きだ。
 「彼をキャプテンにしたのが間違いだった」 という意見もチラホラ見られたが、本当にそうだろうか? 移籍までの経緯を見ると確かにそう思うのも無理はないし、あの当時の行動を擁護するつもりも全くない。しかし、あの騒動が起きるまでの彼は立派にキャプテンを努めあげていたはずだ。少なくともピッチ上ではチームメイトやレフェリーに不満を如実に表すことも本当に少なくなったし、チームがどんな劣勢に立たされても彼は諦めることなくゴールと勝利に向かって走り続けた。ピッチ外でもチームメイト全員にロレックスの時計をプレゼントしたことが話題になったりと、彼なりではあったかもしれないが、 精一杯キャプテンを全うしようとしてたはずだ。

 今でこそチャンピオンズリーグの舞台に戻ってきて、今シーズンは久しぶりにスクデット争いに参戦できている状況を楽しめているのも、 イカルディを筆頭とした功労者の貢献があってのことだと忘れては ならない。

 前述したように、 現在のイカルディはPSGにローン移籍をしている状況。つまりシーズン後にインテル復帰というシナリオがゼロではないとだけ記しておく。
 彼が再びインテリスタのアイドルへと返り咲く事になるのか、あるいは時折噂されるユーヴェへの禁断の移籍を果たしてしまうのか。様々な可能性が考えられる同選手ではあるが、インテルに貢献したことに対する感謝の気持ちは常に持ちながら、今後のサッカーキャリアを楽しみに見守りたい。

 

最後までお読み頂きありがとうございました。

 

【ファンが作るセリエA歴代選手名鑑】

 

File No. 18

 

Mauro Icardi

 

 

文:TATSUYA(@tatsuya_inter)