クシシュトフ・ピョンテク。
今から遡ること1年9ヶ月前、 ジェノアの門を叩いたこの無名ストライカーの名前をどれだけの人 が知っていただろうか。
2018年6月、地元ポーランドのクラコヴィアから400万€の 移籍金でジェノアへやって来たピョンテクは、コッパ・ イタリアのレッチェ戦でデビューを飾ると、その試合で4ゴールを記録。
その2週間後に行われたエンポリ戦でも、セリエAデビューと共に初ゴール。その勢いは留まることを知らずに7試合連続ゴール。 圧巻のパフォーマンスでイタリア全土に旋風を巻き起こした。
そんな彼を我らがACミランが冬のメルカートで獲得。筆者は実は生粋のミラニスタなのだが当時は彼についてあまり知らず、この選手に家計が火の車のミランが3500万€もかけて良いのだろうか?と懐疑的だったのが本音である(少なくとも半年後まではこの考えが間違っていたことに気付かされた訳だが)。
前半11分、27分と立て続けにサンシーロを揺らす大歓声。Pow!Pow!Pow!のチャントが声高に上がる。ミランでスタメンデビューを飾ったコッパ・ イタリアのナポリ戦でのこと。彼はドッピエッタの活躍。この"ピストレロ"の華麗なゴールと両 腕を交差させて発砲するガンスリンガーセレブレーションに筆者の心はいとも簡単に撃ち抜かれてしまった。
その後も獅子奮迅の活躍でリーグ戦18試合で9ゴール。さらに印象的なゴールもいくつか決め爆発的な勢いを見せつけた(筆者はアタランタ戦の1点目がお気に入り)。その驚異の得点力でシェフチェンコ、ファン・バステン、インザーギ等偉大な先人らと比較されるように。たった1年間で無名のストライカーからロッソ・ ネリのエースストライカーまで登り詰めたのだ。
つかの間とはまさにこの事で、僅か1年間で彼とは別れを告げる事になってしまった。半年間の夢を見ていた僕たちは寝ぼけていて何が起きたのかよく解っていない。彼自身の問題か、ジャンパオロか、ピオーリか、はたまた9番の呪いか...突きつけられた事実はミラノを去りベルリンに居るということ。ただそれだけ。
たった1年間という短い時間でこれだけ選手を好きになったことは今まで無かったので、お別れがとても寂しい。未だに寂しい。
もう一度でいいから、 サンシーロでゴールを決める姿を見たいと願うばかりだ。
【ファンが作るセリエA歴代選手名鑑】
File No. 20
Krzysztof Piątek
ゆめたろう(@yumeballista)