コロナウイルスの影響でシーズンが中断された今、やはり夏の移籍の噂が上がってくるのは当然で、それが我々サッカーファンの楽しみでもあります。我々インテルで言うと、ラウタロのバルサ加入やシュクリニアルの移籍、カストロヴィッリやフェルトンゲンの獲得なんかが噂されていますね。
しかし、
「何故彼の移籍が噂されないのだろう?」
とインテリスタの誰もが一度は思ったことがあるであろう選手がいます。シーズンを通してコンスタントに試合に出続け、パフォーマンスが落ちずにアグレッシブに仕事をこなす守備の要で ある彼に噂が全くないのは逆に不安になってくるくらいです。
そう、その選手とはステファン・デフライのことです。
ここで簡単に彼のキャリアについて話しましょう。
彼は1992年2月5日にオランダのオウダーケルク・アーン・ デンエイセルという町で産まれました。 オウダーケルクは非常にロッテルダムに近く、現地情報によるととても自然が豊からしいです。
そして彼は10歳からロッテルダムを本拠地として活動する名門フ ェイエノールトに入団。15歳の時にDFとして試合に出始めて、u-17に飛び級していたらしいです(笑)
入団してから7年後の7月、遂にトップチームとプロ契約を交し、その後すぐにデビューします。2010-11には中心選手としてリーグ戦30試合出場、12年からはキャプテンとして試合に出続けます。この頃からオランダ代表にも選出されだします。
そしてW杯の活躍もあり、2014-15にはラツィオに加入します。加入後は怪我が続いたりしましたが、その後セリエA屈指のCBに成長します。
そして2017年の夏、引く手あまたとなった彼をインテルが口説き、0円で獲得。デフライを狙ったクラブとして、バルセロナ、アトレティコ・ マドリードやナポリ、リバプールも名前が挙がっています。こう考えると、インテル加入は本当に奇跡的なものですね(笑)
ここで彼がインテルに加入する前のシーズンの話をしましょう。
2017-18のインテルはラフィーニャやカンセロの活躍もあり 、7年ぶりのCL出場権獲得に近づいていました。 僕もその頃はインテルの試合を見始めたばかりでしたが、 インテルがCLで見れるという期待が高まっていて夜遅くのゲーム も視聴していました。
第37節、勝ち点差2の4位ラツィオに追いつきたいインテルはサンシーロでサッスオーロを迎えての一戦。インテルは前節のAWAYのウディネーゼ戦で4-0と大勝し、勢いに乗っていました。 正直、自分も勝てるだろうと過信して、 ぼんやりとゲームを見ていました。
しかし、結果は1-2の敗戦。
まさかの結果に選手達も試合後ピッチに倒れ込んでいました。 この時のコンシーリは神懸かってたなぁ。 そして他会場のラツィオはクロトーネと引き分けたため(2-2) 、勝ち点の差が広がり、CL出場権獲得が非常に厳しい場面を迎えていました。
そして迎えた最終節。
相手はまさかのラツィオ。 願ってもいなかった直接対決が最終節で実現します。そして、もうこの時点で、 デフライのインテル行き合意が噂されていたのにも関わらず、 チームから信頼され、 デフライはラツィオのスターティングメンバーに名を連ねます。
そして日本時間5月21日3時45分遂にキックオフ。
試合はフェリペ・アンデルソン(現ウェストハム所属)率いるラツィオの攻撃陣にペースを掴まれ、厳しい展開に。そして9分、アダム・ マルシッチのミドルシュートがペリシッチの顔面に当たりボールは ゴールへ吸い込まれてしまいます。早い時間帯にCL出場権獲得へ優位なラツィオが先制します。しかし、負けられないインテルは29分、ブロゾビッチのCKから混戦した所をダンブロージオが押し込み同点。
しかし、 前半も終わりにさしかかろうという時間帯にカウンターから失点。 前半を1-2で折り返します。
後半、変わらず激しい展開が続きますが、75分、抜け出したイカルディ(現PSG)をデフライが倒してしまい、PKを与えてしまいます。そのPKをイカルディが冷静に流し込み、同点とします。その後、主将セナド・ ルリッチの退場もあり、81分にCKからべシーノが頭で合わせて逆転。そのまま時は過ぎ去り試合終了。インテルは劇的逆転勝利で CL出場権を掴み取りました。 選手達も喜びが爆発していて僕も喜びが爆発したのを覚えています 。
しかし試合後、デフライはピッチ上で涙を流していました。 涙を拭ったウエアで顔を覆い、表情を隠したまま、ベンチから動けない状態でカメラに映っていました。
「デフライの問題がチームの平穏を乱していたのか?」
試合後、そう問われたラツィオの主将、 ルリッチは悔しさをにじませながら、こう絞り出していました。
「チームメイト全員の模範となるプロフェッショナルだった。 最後の瞬間まで戦い抜いていた」
僕は勿論、 選手や両サポーターまでもがデフライの涙に感動しました。号泣しているサポーターもスタジアム内に多かったのを覚えています。彼は、決してわざとインテルにPKを与えたわけではない。 彼の勝ちたい、ラツィオを勝たせたいという感情が出てのプレーだったと僕は感じました。
僕はそれからデフライを応援するようになったし、 先月の彼のミラノダービーでの決勝弾ではめちゃくちゃに騒ぎまし た(笑)
今では本当に大好きな選手の1人です。
"ラツィオ史上屈指のCB"とまで言わしめたプロフェッショナルを、僕はこの先も応援し続けます。
FORZA Stefan De VRIJ !!!!
(良かったら今季の活躍も見ていってください)
【ファンが作るセリエA歴代選手名鑑】
File No. 23
Stefan DeVrij
文:ブローじを(@lam_brogiOkOp)