このSTAY HOME期間中、フィオレンティーナファンの私は、 ビデオデッキに保管していた過去の名勝負を見返していました。DAZN襲来前のスカパー映像を見返しては、懐かしい面々に思いをはせています。
ヨベティッチの躍動、ロッシ・カリニッチ・ シメオネのトリプレッタ、ELベスト4進出…
皆いなくなってしまいましたね笑
そんな中、 改めてこのチームの魅力が凝縮されているなぁという試合を今回紹介させてください。
16/17シーズン 第18節
フィオレンティーナ vs ナポリ
フィオレンティーナにとっての最大の敵といえば?
全会一致でユベントスとなるかと思います。
ではライバルは?
多くのフィオレンティー二、 そしてナポレターノの方々から異論が出てくるかと思いますが、僕の場合はナポリなのです。
プランデッリのサイクルが終わり、数年の迷走に入るころ、 入れ替わりで台頭してきたのがマッツァーリのナポリでした。
強豪とまではいかずとも、 トップグループに割って入らんとする地方の雄。そういったチームが大好きな僕にとって、それは悔しくもあり、また魅力的でもありました。
そして、ミラノの2強が落ちていく中、 モンテッラ率いるフィオレンティーナはセリエAで再び躍進。ナポリと並び魅力的な攻撃サッカーと称され、チーム力の差は感じつつも対抗意識が沸くわけです。
そして、13/14シーズン、コッパ決勝で敗れた後、ナポリというチームは僕にとって2番目の宿敵となったのです。
さて、僕のしょうもない嫉妬心はここまでとして、このシーズンの両チームを軽くおさらいしておきましょう。
フィオレンティーナはパウロソウザ2年目。1年目は一時首位に立つなど期待感を待たせるシーズンとなり、2年目の飛躍が期待されていましたが、どうも勝ちきれない試合が多い…
そんな中、若手の成長が目覚ましく、中でもトップ昇格1年目のキエーザはこの試合あたりからスタメンに名を連ねるようになります 。
後の裏切者ベルナルデスキもWBからアタッカーの位置に固定され、得点を重ねていきました。
一方のナポリ。イグアインの抜けた攻撃陣にミリクを加え期待に応えていましたが、序盤で大けが…
そんな中、サッリはメルテンスをCFに置く英断を下し、極悪3ト ップが大爆発。絶好調の中、意気揚々とフランキに乗り込んできました。(ナポレターノの皆様、こんなもんでしたかね?笑)
イタリア代表を引っ張っていくであろうベルナルデスキ・ インシーニェの両アタッカー対決という側面もあり、注目度も高かったかと思います。
メンバーはこちら。(直撮りですみません…)
わが軍のDFラインが…この試合には出ていませんでしたが、このシーズンまでCBにゴンサロ、中盤にはバレロが軸でしたね。
4バックで紹介されていますが、どちらかというと3-4-2-1 気味で、Mアロンソの後継として加入したオリベイラがバランスをとってキエーザがガンガン仕掛けていく攻撃的な布陣でした。
試合は前半、インシーニェの「あの形」からやられ失点( オフサイドだったんですけどね)。
キエーザが剥がされた瞬間ヤバイとなりましたが、そんな想像をはるかに超える美しい軌道でした( オフサイドだったんですけどね)。
そして後半。ライバルにまざまざと見せつけられたヴィオラの10番が覚醒します。試合も一転壮絶な打ち合いに。
まずは7分。好位置でFKを得ると、ベルナルデスキの蹴ったボールは壁に当たり、コースが変わってそのままゴールイン。同点に追いつきます。
ナポリも左サイドから崩してメルテンスが決定機も、オリベイラがライン上でクリア!何とかしのげたと思っていたら、そのあと信じられない光景が…
68分。最終ラインでボールを回していると、突如“ 代役カピターノ”トモビッチがペナ手前でボールロスト。奪ったメルテンス、今度は逃さず勝ち越し…。
選手名鑑では安定感抜群と書かれていたものの、 実際見てて不安にしかならなかったトモビッチ。
モンテッラ~ソウザ期。上位の常連でありながらもCLに届かなか ったのは、 3バックの右が最後まで定まらなかったからだと思っています。 ロンカーリアや彼がファーストチョイスでは難しいですね…
しかし、この直後、10番が再び魅せます。キックオフ直後、バデリの縦パスから前を向いたベルナルデスキが左足を一閃!すぐに追いつきます。
普段なら絶対に狙わない位置からのゴラッソ。 このままでは終われないという意地を見ました。
そしてソウザはサラテを投入。これが大当たり。
82分。三たび10番の左足が唸ります。2点目を決めたあたりの位置から、前線のサラテにピンポイントでフライングスルーパス。
そしてサラテがダイレクトボレー!!ついにこの試合で勝ち越します!
100点満点のパスに、100点満点のシュート。 一連の無駄のなさに美しさ。ここ5年でのベストゴールですね。
しかし、これで終われないのがフィオレンティーナ。
後半アディショナルタイム。 ペナルティーエリア内でのメルテンスの鋭い突破に、サルセドがたまらずファウル。PKを与えてしまいます。
途中出場のガッビアディーニが落ち着いて決め、土壇場で追いつかれてしまいます。そしてそのまま試合終了。
壮絶な打ち合いとなった試合、 第三者からみれば極上のゲームだったことでしょう。
結局、シーズンを通して上がり目のなかったチームは、EL敗退を期に目に見えて意気消沈。
ユーべ相手の勝利など印象深い試合もありましたが、8位でリーグ戦を終えます。
このシーズン後、主力の大放出が行われ、チームは実質の解体。一つのサイクルが終わりました。そのあとのことは、以下のKyazu様の記事に詳細に書かれているかと思います。
https://www.stadiogiapponese.com/entry/2020/05/14/17-18_Fiorentina_VS_Benevent
改めて振り返ると、 僕はこの試合にフィオレンティーナというチームの魅力が詰まって いるような気がしてならないのです。
ピッチ上で見せてくれる意地、危うさ、そして一瞬の閃き…常勝チームにはない魅力が、このチームにはあります。
先ほどボロクソに書きましたが、トモビッチもその要素を作る1人でした。
在籍時は批判ばかりだったかと思いますが、 嫌いになるわけがありません。
バルカン半島出身の多いチーム内でのまとめ役だったというその人間性に対する批判は聞いたことがなかったし、キエーボ時代、フィオレンティーナ相手にゴールを決めた後、天に“13”の指を捧げ、フランキで温かい拍手が起きたことを、僕は忘れません。
そしてベルナルデスキ。 はっきりといいますが僕は彼をまた好きにはなれないでしょう。
ただ、ユーべでケガして落ちぶれてしまえ、というような感情とはまた違います。
少なくともフィオレンティーナ時代の彼は、明らかに違うものを持っていました。
今の時代で、その閃きと一振りで、往年のファンタジスタとして振舞える数少ない選手です。そこらの量産型カットインアタッカーとは違うのです。
今、 何かとトレード要員として彼の名前が挙がってしまうことが残念でなりません。
いったんステップダウンしてみるのもいいのでしょう。ただ、かならず這い上がってほしい。
ただの裏切りものとしてだけでなく、敵の最大のキーマンとして、最大限のブーイングをさせてほしいのです。
いつ再開されるのか不透明ではありますが、 こんな試合をまた見せてくれるであろう日を気長に待ち続けたいと思います。
皆様、どうかお体に気を付けてお過ごしください。
お読みいただきありがとうございました!
【忘れられないあの試合】
16-17シーズン
Fiorentina-Napoli
3-3
RG7(acfct3925)