Lo Stadio Giapponese

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セリエAニューヒーロー企画《MF編》

 イタリア最高のMFと聞くと、かの稀代のレジスタ、孤高の天才ピルロをイメージする方も多いのではないだろうか。中盤の底から勝利へ直結する美しいパスを供給し続けた彼も、昨シーズンを最後についにユニフォームを脱いだ。

 そして昨夏、ジョルジーニョやマルキージオといった数名の優れたMF達がイタリアの地を去った。それでも、前半戦はブレシアのトナーリという素晴らしい才能を持った若武者が新生アッズーリに招集され、メルカートの動向においてもカルチョクラスタ達の注目を大いに集めている。奇遇にも彼は"ピルロⅡ世"の異名を持つ選手。いずれ彼もAの舞台、そして国際大会で多くのサポーター達を魅了することだろう。

 さて、去りびとあれば来たるひとあり。カルチョの中盤には今季も才能がひしめいている。今回紹介する彼らは、戦術王国イタリアの各クラブの中盤を支える卓越した才能を持った選手達だ。今まで以上に多くのタスクを求められるようになった現代サッカーでなお輝きを放っている彼らには必見の価値あり。

 

 

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MF:スティーブン・エンゾンジ(ローマ/30歳・フランス代表)
  • 身長190㎝を超える規格外のフィジカル
  • ベテランMFらしいクレバーなプレー

今シーズンローマに加入したフランス人プレイヤー。身長190㎝を超える強靭なフィジカルを持つエンゾンジだが、魅力はフィジカルの強さだけではない。フィジカルに恵まれた選手はアジリティやサッカーIQなど他の能力に重大な欠陥を抱えていることが多いがエンゾンジは例外である。的確なポジショニングでボールを刈り、卓越したゲームメイク能力でゲームを落ち着かせる。しかし、ナインゴランとストロートマンの移籍を忘れさせるほどのプレーを見せてはいないというのが現状である。CLも狙える順位に上がってきた注目のローマだが、エンゾンジが更に良いプレーが出来るかどうかも注目すべき点だろう。
(文:ミラにすた)

 

 

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MF:ニコロ・ザニオーロ(ローマ/19歳・イタリア代表)
  • 190センチの長身を誇る左利きのテクニシャン
  • 複数ポジションをこなす戦術理解度の高さ

弱冠19歳にして代表招集を受ける逸材。インテルのプリマベーラでくすぶっていた才能は、若手抜擢に定評のあるローマのエウゼビオ・ディ・フランチェスコ監督のもとで花開いた。190センチと大柄ながら機動力、テクニックとともに高水準のものを持ち合わせ、守備能力も高い。U-21イタリア代表では監督の要求に応え、複数ポジションをこなすなど戦術理解度にも秀でている。このまま順調に成長を重ねれば、自身のアイドルであるカカのようにワールドクラスの選手へと変貌を遂げる可能性も大いにあり得る。インテルはこの俊英を手放したことをいずれ後悔するだろう。
(文:Ryosuke)

 

 

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MF:スアリオ・メイテ(トリノ/24歳・元U-20フランス代表)
  • 恵まれた体格を活かした球際の強さ
  • 単独でのプレス回避を可能にする高い足元のスキル

今季のトリノ新加入組で最も評価を上げた選手。アントニオ・バレーカとのトレードでモナコからやって来たが、この取引は今後も素晴らしいものとして記憶されていくだろう。ダイナミズムとテクニックを併せ持った彼のプレースタイルは、本人も「お手本の1人」として語るポール・ポグバを彷彿とさせる。その活躍ぶりは、フランス代表のディディエ・デシャン監督もトリノの試合に視察団を派遣するほど。24歳という年齢も考えると、レ・ブルーのユニフォームを身に纏った姿が見られる日は案外近いかもしれない。
(文:Dino)

 

 

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MF:ファビアン・ルイス(ナポリ/22歳・元U-21スペイン代表)
  • スペイン人らしい正確な左足の技術
  • 空いたスペースに入り込むタイミングの良さ

売りは他のスペイン人選手と同じく正確な技術。加えて189㎝という身長を生かしたフィジカルの強さもあり、スピードにはやや欠けるが、相手に体をぶつけられても簡単にはボールを失わずに正確なパスを供給できる。ベティスから加入した今シーズンの前半は左のサイドハーフとしてプレー。機を見て内側のポジションを取ることで対面の相手を混乱させ、そこからスルーパスで味方のお膳立てをするのが常だが、バイタルエリア付近でボールを受ければ強烈なシュートを見舞うなど、プレーの幅も広がってきた。U-22スペイン代表の中心選手として東京五輪も目指している。
(文:Morotti)

 

 

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MF:ソフィアン・キイネ(キエーヴォ/21歳・U-23モロッコ代表)
  • 強靭なフィジカルと繊細なタッチで魅せるボールコントロール
  • 個の力で状況を打破する切り札的存在

今キエーヴォで最もアツい選手がこのキイネだ。182cmの恵まれた体格を生かした身体の使い方で巧みにボールをキープし、単騎で相手陣内を駆け上がる。細かいタッチとフェイントも魅力で、観たものにわかりやすく鮮烈な印象を与える。パススキルや味方との連携も素晴らしいが、試合を通じた状況判断に課題が残り、スタメン定着には至らずジョーカーとしての起用に留まっている。それでも彼のポテンシャルは疑いようがないものであり、市場価値はうなぎ上り。今後のステップアップに注目が集まる。モロッコとベルギーの二重国籍者だが年代別代表はモロッコを選択。
(文:Yotaro)

 

 

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MF:ヴァロン・ベリシャ(ラツィオ/26歳・コソボ代表)
  • 守備とドリブルに優れる
  • カウンターの起点に

今季ラツィオに加入したコソボ代表MF。ボール奪取能力と縦への推進力に優れており、前所属チームのRBザルツブルグでは、鋭いカウンターを展開するチームの戦術の中心を担っていた。また、昨年のELではラツィオと対戦。イグリ・ターレらラツィオ首脳陣の目の前で優れたプレーを見せ、オファーを直接引き出すきっかけをつくった。まだイタリアでは出場機会に恵まれていないものの、かつてフェリペ・アンデルソンも着けた“出世番号”の7番を与えられたのは期待の表れだろう。さらなる飛躍に期待したい。
(文:ラツィオタロー)

 

 

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MF:ティエムエ・バカヨコ(ミラン/24歳・フランス代表)
  • 決して当たり負けしない強靭なフィジカル
  • 相手を薙ぎ倒しながら進む推進力

ガットゥーゾが根気強く使い続けてようやくミランの戦力として数えられるようになった選手。強豪相手にも素晴らしいパフォーマンスを見せるなどビリアの離脱を感じさせないパフォーマンスを見せている。バカヨコの良さは何と言ってもフィジカルの強さだろう。当たり負けすることはほとんどないと言える。また、手足のリーチが長く少しのボールコントロールのミスなら帳消ししてしまえるところも魅力の1つだ。最近はMOMに選ばれることも珍しくなく、中盤の選手に強さと走力を求めるガットゥーゾミランにはバカヨコは欠かせない存在になっている。今のパフォーマンスを継続出来れば、フランス代表に復帰する日もそう遠くはないだろう。
(文:ミラにすた)

 

 

 いかがだっただろうか。紹介した彼らからも窺えるように、近年中盤のプレイヤーで好選手と呼ばれる選手達の特徴にはフィジカル面の強さが共通して挙げられるのかもしれない。

そして世界的なトレンドとしてはもう一つ、オンリーワンのスキルを持つ選手より、多くのタスクを高水準でこなせる選手が重用されるようになってきているように感じられる。これを端的に表している好例が、レアル・マドリー(スペイン)のクロアチア代表MFモドリッチではなかろうか。そんな彼は昨季、自身初のバロンドールを受賞した。

 だが、カルチョで戦う選手達も負けてはいまい。今回紹介した彼らはみな未だに伸びしろを残しており、素晴らしい可能性をまだまだ秘めている。数名は1年後に迫った東京で、そして多くは3年後のカタールでその雄姿を観ることができるかもしれない。このイタリア・セリエAを代表する中盤の選手へと歩みを進める彼らには、金色のサッカーボールを掲げる或る日の姿が視えているのだろうか。

 

 

 尚、今回も紹介にあたり選手達のプレー分析を担当したスタジャポ記者団は以下の7名である。

 

 


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