自分がACミランを応援し始めたのは、2008年のクラブワールドカップの時。
当時の世界最高選手、カカー擁する赤黒の集団を見ていた自分はまだ小学生で、ヨーロッパから来た強豪軍団のプレーやオーラに圧巻を受けたのを覚えています。
その時から長きにわたってミランの9番を背負った男。
僕の大好きな選手は、『スーペル・ピッポ』、フィリッポ・インザ ーギです。
彼の特徴はなんといっても、その類まれな得点センスと泥臭いゴー ルへの執念。得点をあげることだけを仕事とし、オフサイドラインで常に相手と駆け引きをする。一瞬のチャンスを確実にモノにし、得点をあげてしまう。そして、何点目だろうと少年のように喜びながらピッチを駆け回る 。
そんなピッポが大好きでした。
当時のWSDのインタビュー記事で「自分が決めたゴールの数はもちろん、右足で何点、左足で何点などその内訳すら覚えている」と語っていたのには、らしさを感じずにはいられませんでした笑
フィジカル能力はピークを過ぎたキャリア晩年でも、ピッポは最後の最後までスーパーサブとして輝いていました。10-11シーズンのCLグループリーグ。レアルマドリーに1点リードを許した中で途中投入されたピッポは2得点を上げます。
1点目はキーパーが弾いたこぼれ球を頭で押し込む。
2点目はオフサイドギリギリ(というより、オフサイドでした笑) で飛び出してゴールに流し込む。
当時37歳で、カッサーノ、ロビーニョ、パトと錚々たる同僚がい る中で、神様イブラをして「ピッポともっと組みたい」 と言わしめたのは、さすがと言わざるを得ません。
そんなピッポもついに引退。11-12シーズン38節のノヴァーラ戦でした。途中から出場したピッポは最後も得点を決めます。その得点もまた、ディフェンスラインからの飛び出しから決めたものでした。
得点後ピッポは、いつものように喜びを爆発させ、ファンの元へ吠えながら駆けていきました。また、この得点は、同じ日にミラン最後の試合を迎えた、ザンブロッタ、ネスタ、ガットゥーゾ、セードルフとのパスワークから生ま れたもので、ミランファンからすればたまらなく感動的なものでした。
今、ミランには当時のピッポのような気迫を持った選手は残念ながらいません。当時を知るイブラヒモビッチは、もしかしたらこう思ってるかもしれません。
「ああ、ピッポがいればなあ・・・」と。
【ファンが作るセリエA歴代選手名鑑】
File No. 11
Filippo Inzaghi
文:tom(@foot79827387)